がんによる障害

がんによる障害

2人に1人は生涯のうち1度はがんに罹患するという時代になっています。そして、がん患者さんの約3人に1人が、現役世代(20歳~64歳)に属しています。休職をしたときの収入や治療費のことを心配される方も多くいらっしゃると思います。傷病手当金や高額療養費のことはご存知の方が多いですが、障害年金については、残念ながらあまり知られていません。

がんも障害年金の対象となります

上肢や下肢の切断、喉頭全摘出術、人工肛門や新膀胱などの外部障害だけでなく、内部障害や抗がん剤や放射線治療の副作用により日常生活や就労に支障が生じる場合も対象となります。

がんの認定

がんによる障害は次の3つに区分され、これらが認定の対象となります。

①がんそのもの(原発巣、移転巣を含む。)による局所(特定器官)の障害

②がんそのもの(原発巣、移転巣を含む。)による全身衰弱や機能の障害

③治療が原因で起こる全身衰弱や機能の障害

 

組織所見とその悪性度、検査成績(一般検査及び特殊検査、画像検査など)、転移の有無、 病状の経過、治療の効果等を参考にして具体的な日常生活状況等により、総合的に認定されます。(下の表は、あくまでイメージです。)

 
 等級               各等級のイメージ
  1級 長期にわたる安静を必要とする病状のため日常生活を送ることができない程度。身のまわりのことができず常に介助を必要とし、終日就床をしいられ活動範囲がベッド周辺に限られる。
  2級 日常生活に著しい制限を受けるか制限を加えることを必要とする程度。イメージとしては、身のまわりのことはある程度できるが、時には介助が必要なことがあり、活動範囲が概ね居宅内である。
  3級 労働に制限を受けるか制限を加えることを必要とする程度。
診断書

病状、障害に応じた診断書で請求することが重要です。

① 全身衰弱が主な症状のとき → その他障害用の診断書

② 外部障害が主な症状のとき → 外部障害に対応する診断書

③ 外部障害も全身衰弱もあるとき → その他障害用の診断書と外部障害に対応する診断書の両方を使用します。

※「外部障害」とは、上肢下肢の切断、喉頭全摘出による言語障害、脳や脊髄への転移による肢体の障害、がんによる末梢神経障害 、抗がん剤による中枢・末梢神経障害等のことをいいます。

※「全身衰弱」とは、がんそのもの又は、抗がん剤や放射線治療等の副作用による倦怠感、悪心、嘔吐、下痢、貧血、体重減少などです。 

ステージや余命のみで認定されません。日常生活の支障の程度がポイントとなります。衰弱や倦怠感、副作用の程度は、数値で表すことができないため、がんによる認定は容易ではありません。日頃から、医師に日常生活の状態、副作用の状態などご自身の状態について伝えておくことも大切です。

就労していても休みがちであったり、短時間の就労のため十分な収入がない場合は、周囲から受けている配慮や援助について申立てる必要があります。