先天性の知的障害の場合、出生日が初診日とされ、「20歳前傷病による障害基礎年金」の対象となります。障害の程度を認定する障害認定日は、20歳に達したとき(20歳のお誕生日前日)です。
障害認定日での請求ができなかった場合や、請求したけれども認められなかった場合でも、65歳に達する日の前日(65歳のお誕生日の前々日)までに、何度でも請求することができます。
知的障害の認定にあたっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活の様々な場面においてどの程度の援助が必要かを勘案して総合的に認定されます。
等級 | 障害の状態 |
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1級 | 食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの |
2級 | 食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの |
3級 | 知能障害があり、労働が著しい制限を受けるもの |
日常生活の能力は、「適切な食事」「身辺の清潔保持」「金銭管理と買い物」「通院と服薬」「他人との意思伝達及び対人関係」「身辺の安全保持及び危機対応」「社会性」の7つの項目について、どの程度適切に行うことができるかの評価をもとに判断されます。ご家族等と同居されている場合は、日頃ご家族等からどのような援助を受けているかなど、具体的に日常生活の状況を見直してみましょう。また、社会への適応性の程度も考慮されます。
平成28年9月1日より「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」による運用が開催されています。日常生活能力の程度と日常生活能力の判定による「等級の目安」が作成され、一定程度の参考にはなります。
認定基準では、就労していることのみを持って、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助、他の従業員との意思の疎通の状況を十分に確認した上で日常生活能力を判断するとされています。
等級判定ガイドラインにおいても、相当程度援助を受けて就労している場合は、それを考慮するとしています。就労継続支援A型、B型及び障害者雇用制度によって就労している場合は2級以上が検討されます。就労移行支援も同様です。仕事の内容や職場で受けている配慮や援助について詳しく申し立てることが必要です。
等級の審査においては、療育手帳は参考資料とされます。療育手帳が〇〇だから障害年金何級と決まっているわけではありません。
中高年になってから知的障害が判明し、障害年金を請求される場合などにおいて、療育手帳がなければ障害年金を受けることができない、ということはありません。ただし、幼少期から知的障害があることが、客観的に確認できることが必要です。養護学級等の在籍状況や通知表などから確認できた場合は、2級の可能性を検討されます。