糖尿病1型患者への障害年金支給命じる 東京地裁 2022/7/26 日本経済新聞
血糖値を下げるインスリンが体内でつくれなくなる1型糖尿病の患者、西田えみ子さん(51)=東京都府中市=が、障害基礎年金を支給しなかった国の決定は不当だとして取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、請求通り不支給処分を取り消し、障害等級2級相当額の支給を命じた。
岡田幸人裁判長は国の障害認定基準を妥当とした上で西田さんの症状や検査結果などを検討。年金支給対象外の3級に比べてかなり重篤だと指摘し、「実際に日常生活に著しい制約を受けている」として障害等級が2級に該当すると判断した。
訴状によると、1型糖尿病は2型と異なり根治は難しく、注射などでインスリンを補う必要がある。西田さんは低血糖による意識障害で仕事や家事に支障があり、2017年に年金支給を求めたが、支給対象外と判断された。
西田さん側は「等級の認定基準が明確ではなく、他の疾患と比べて認定のハードルが高い」と主張。国側は基準は合理的と反論していた。厚生労働省によると、1型糖尿病患者は20年の患者調査では約13万9千人で、障害基礎年金の受給者数の統計はない。
同種訴訟で大阪地裁は19年4月、患者9人の請求を認め、支給を打ち切った国の処分を取り消した。処分の詳しい理由が示されず、違法な手続きだと判断した。判決は確定したが、厚労省は改めて支給停止を通知。9人は支給を求め再び提訴し、大阪地裁は21年5月、うち8人の請求を棄却。患者側が控訴している。〔共同〕