20歳前の傷病による請求

20歳前の年金制度にまだ加入していない時に初診日のある病気やケガで障害を負われた場合でも、  一定の制限がありますが、障害基礎年金が支給されます。生まれながらの傷病による障害や知的障害も、該当します。

20歳前傷病による障害基礎年金の対象となるため、障害等級1級又は2級に該当する必要があります。

請求のポイント

障害認定日

障害の程度を審査する日を「障害認定日」と言います。

「①20歳に達した日(誕生日前日)」か「②初診日から1年6カ月経過した日」のどちらか遅い日が障害認定日となります。

 

※先天性の知的障害の場合は、出生日を初診日と取り扱われることとなっているため、20歳に達した日が障害認定日となります。

障害認定日による請求

①障害認定日が20歳に達した時の場合、原則、障害認定日前後3ヶ月以内の現症の診断書が必要です。

②障害認定日が20歳以後の場合は、障害認定日後3カ月以内の現症の診断書が必要です。

年金の支給は、認定日の翌月分からとなりますが、障害認定日から5年以上経過した後に請求を行った場合は、時効により、支払われる年金は直近の5年分となります。

 

※障害認定日から1年以上経過してから請求する場合は、障害認定日当時の診断書に加えて請求日以前3か月以内の診断書の提出も必要です。

事後重傷による請求

障害認定日において障害等級12級に該当しなかった場合でも、65歳に達する日の前日(65歳のお誕生日の前々日)までに障害の状態が悪化し12級に該当するに至った場合は事後重症による請求ができます。請求日以前3か月以内の診断書を提出します。

65歳のお誕生日の前々日までに請求する必要があります。年金の支給は請求した月の翌月分からとなります。

 

初診日の証明について

20歳前傷病による障害年金の初診日証明がとれない場合の取り扱い

初診から長期間経過してから請求する場合などは、カルテが廃棄されており初診日の証明が添付できないという場合があります。そのような時でも、諦めることはありません。

20歳前傷病による障害基礎年金の請求に限り明らかに20歳以前に発病し、医療機関を受診していたことを第三者が証明したものを添付できる場合には、それを初診日の証明として取り扱われます。

 第三者証明として認められる範囲は、民法上の三親等内の親族以外の民生委員、病院長、施設長、事業主、隣人等で原則複数名の証明が必要です。

初診日を証明する手続きの簡素化

2番目以降に受診した医療機関であっても、18歳6カ月前に受診したことが確認できる場合は、初診日を具体的に特定しなくても本人が申し立てた初診日が認められます。

障害認定日は、原則初診日から1年6カ月を経過した日となるため、2番目以降の医療機関の受診日が18歳6カ月前にある時は、障害認定日が20歳に達した日であることが明らかとなるためです。ただし、その受診日前に厚生年金加入期間がない場合に限られます。

支給制限

所得制限

20歳前傷病の障害年金は、本人の所得により年金の支給制限が行われます。            毎年7月に所得の確認が行われ、前年の所得が一定額を超えている場合は、8月分から翌年7月分までが支給停止されることになっています。しかし、令和3年度からは、対象期間が10月分から翌年9月に変更されることになりました。この改正のため令和2年度は、8月分から令和3年9月分となります。

 

  • 年金額の1/2が停止される場合

受給者本人の前年の所得が3704千円(扶養親族がいる場合は、上の金額に扶養親族1人あたり38万円加算した額)を超えるときは、1/2が支給停止されます。

     

  • 全額停止される場合

受給者本人の前年の所得が4721千円(扶養親族がいる場合は、上の金額に扶養親族1人あたり38万円加算した額)を超えるときは、全額が支給停止されます。

 

 

その他の支給制限

以下のときは、全額が支給停止となります。

 

  • 海外に居住する期間
  • 労災保険から年金給付を受給する期間
  • 刑事施設、労役場等に拘禁、少年院等に収容されている期間

 

初診から随分年数が経過しているようなときでも、第三者に証明してもらうことで受給できる場合があります。あなたが病院に通院していたことを知っている方はいらっしゃらないでしょうか。他にも参考資料等を添えることで受給できる場合もあります。諦めずに当時のことを想い出してみましょう。