今年1月にご報告した裁判の判決を傍聴してきました。傍聴席は満席で、遠方から来られてる方もおられ、関心の高さに驚きました。結果は、棄却ということで原告の敗訴でした。
この裁判は、前回にも書いていますが、障害年金の保険料納付要件に関するものです。障害年金の要件のひとつである保険料納付要件は、「初診日の前日」において要件を満たしていなくてはなりません。初診日の時点では障害状態となることが予測できず、その何年も後に障害状態となることが多くありますが、そのような場合でも、初診日の前日においての保険料納付状況が審査されます。たとえ障害状態になることが予測できない時期に保険料を納めていても、それが初診日より後に納付してものであると、一生涯障害年金を受け取ることができません。
争点は、①初診日以降障害認定日までに保険料が納付された期間を保険料納付済期間として算定の対象とするか ②初診日の前日における納付状況により判断する保険各納付要件が憲法14条及び25条に反するか否か ③納付要件の充足について被保険者側の個別的事情を考慮すべきか否か ④保険料の未納につき原告側の責めに帰すべき事情がなかったといえるか否か でした。
障害基礎年金は、保険料納付実績に基づいて給付を行なうという社会保険方式を基本とする制度であることなどから原告の主張は認められませんでした。
給付の支給には、公平性がなによりも大切だと思います。できる限り公平であるために基準が設けられており、現在の制度が明らかに不公平だとは思いませんが、基準を厳格に求めると、かえって社会保障の趣旨に反する場合もあります。そのような場合、どのように救済していくのかを国に考えて欲しいと思います。法律や制度を変えなくても、他の救済方法があってもよいのではないでしょうか。
そういった点では、今回の裁判は、声をあげるという意味があったと思います。また、一歩前進したのは、「障害の影響等によって初診日の前日において納付要件を満たすことを期待しえない特段の事情が存する場合等において信義則等の適用による個別の救済の余地があり得る」と述べられていることです。
一足飛びに解決ができる問題ではありません。道は長いです。